制御精度向上の歴史

制御精度向上の歴史

人間の感受性を問題とする一般空調では、温度・湿度共その精度は問われませんでした。
しかし、製品の微細化と共に、材料である紙や金属・フィルム等の伸縮等の無い安定した加工のために、高精度の温湿度制御が必要となってきました。精度向上の歴史を振り返ってみます。

  • 二位置制御法
    設定値で機器をONとOFFにするだけの最もシンプルな制御です。
    暖房ですとヒーターが設定値までONで100%稼動し、設定値を超えるとOFFで0%の全く稼動しない制御ですので、OFFになっても余熱で上昇を続けます。
    又、温度が下がってONになってもヒーター自身が温まり室温が上がるまで時間がかかり、その間、温度は下降し続けるという、ハンチング(上下に振れること)が起こります。
  • 三位置制御法
    冷房側の二位置制御と、暖房側の二位置制御を自動で制御できるよう組み合わせた制御です。
    冷房も暖房も入らない中間帯があるので、三位置制御と呼ばれます。二位置制御の組み合わせなのでやはりハンチングは起こります。
    一般の空調では冷房・暖房の切換えは手動で行います。
  • P(比例)制御法
    設定値付近の比例帯で出力を100%から0%まで逆比例させる制御です。
    一般空調ではインバーターエアコン等冷房機器にも比例制御はありますが、精密空調では電気ヒーター等の加熱側を制御する方が多いです。
    ハンチングやオーバーシュート(余熱で設定値よりかなり上昇する)は小さくなりますが、オフセット(設定値と制御値がずれる)が生じます。
  • PID(比例積分微分)制御法
    P(比例)動作に加え、オフセットを解消するI(積分)動作と、外乱による温度変化を抑えるD(微分)動作を兼ね備えた制御です。
    ハンチング・オーバーシュートもオフセットもなくなり、高い制御制度を得られます。精密空調では欠かせない技術です。
露点飽和散水システムの制御法

露点飽和散水システムの制御では、異なる制御法を組み合わせています。湿度をコントロールしている冷水を冷却する冷凍機は、水の安定性が高いので二位置制御を使用し、高精度の制御が必要な温度のコントロールはPID制御で行います。
これにより、効果的かつ効率的な精密空調をローコストで実現することが可能になりました。

【露点飽和散水システムの
温湿度記録実写】